【2020年展覧会感想】三重県立美術館「香りの器―高砂コレクション―」展

【美術館HP】 

【展覧会ページ】

【会期】2020年9月19日(土)~12月13日(日) 
※会期終了

※パナソニック汐留美術館など全国に巡回

概要

(昨年の展覧会です。いろいろ思い出しながら書いています。)
今回の「香りの器」は、西洋ならば香水瓶、日本では香道のお道具を指します。昨年で創業100年を迎えた高砂香料工業のコレクションからの出展です。香料の歴史は古く、古代までさかのぼります。このコレクションの歴史の縦軸と、地域の横軸の幅広さに驚くばかりでした。

香水瓶が好き

私は香水の匂いは苦手です。でも、憧れはあります。古代の香油瓶~西洋の香水瓶を見るのは大好きです。そのきっかけになったのも展覧会でした。
2010年秋の東京都庭園美術館での「きらめく装いの美 香水瓶の世界」。手のひらに収まるほどの小さな小瓶に施された装飾の実に精巧なこと!時代は下ってルネ・ラリックやエミール・ガレ、有名な作家も有名メゾンのデザインをこぞって手掛けていることに驚き、目が釘付けになりました。加えて、香水のネーミングも詩的で私好みでした。香水をひと吹きすれば夢の世界が広がるような、そんな気さえしたのです。そうやって多くの人々を魅了してきたのでしょうね。

お気に入りをご紹介

百聞は一見に如かず、展示の中から私のお気に入りを紹介したいと思います。
今回の展示は一部を除いて撮影OKでした。※写真が美しくないのは私の技術が至らないためです。ご了承ください。

古代の香油瓶 小さいけれど細かい文様が描かれており素朴で好きです。

両耳付筒形香油瓶
 (左から) 刻文把手付香油瓶 赤絵式アリュバロス香油瓶 彩絵式 把手付香油瓶

18世紀ドイツの香水瓶ケース ケースも凝るとは…携帯したくなりますね。

(左から)  色絵鳥文香水瓶ケース  エナメル風景文香水瓶ケース  色絵雅宴文香水瓶ケース 

ウェッジウッドのカメオ風

(左から) ウェッジウッド女神天使文香水瓶   ウェッジウッド天使文香水瓶

ルネ・ラリック 

(左から) 「ジェイソー」「リンゴの花」「ユーカリ」

香水瓶は絵になってもカワイイ! かわいくてそのままいろんなグッズにできそう! 実際にグッズになっていた気がします。

ピヴェール社化粧品総合カタログ
「ジュレ・フレール社」ポスター

最強コラボ香水瓶 見惚れる、完璧な美しさ

バカラ 香水瓶「ミス・ディオール(クリスチャン・ディオール社)」

有名メゾンの香水瓶で一番好きなモノ 詩的なネーミングとパッケージデザインにもご注目!

香水瓶「パリの宵(ブルジョワ社)」
香水・オーデコロン・白粉セット「パリの宵(ブルジョワ社)」

豪かな香道具一式
香道も一度体験してみたいですね。鼻が利かないので全然だめかもしれませんが。

浜松塩屋蒔絵十種香箱
和菓子のような、高級チョコのような… 繊細な仕事がなされています

蘭奢待(らんじゃたい)
正倉院宝物として今に伝わっていますが、時の権力者によって所望されることがありました。2020年大河ドラマ「麒麟がくる」でも信長が蘭奢待を切り取るシーンがありました。一つのステータスシンボルのような感じでしょうか?

蘭奢待 (キャプションより、源頼政からの伝来とのこと)

まとめ

まだまだ紹介したい素敵な香水瓶はたくさんありますが、この辺にしておきましょう。香水瓶を見ていると、日常の擦れた感情を忘れて、潤いが満ち満ちてくる感じがしました。うっとりする時間、必要ですね!

余談

奈良から三重までは少し遠かったのですが、夫の協力もあり見に来ることができました。三重県立美術館は初めてだったのですが、規模の大きな美術館です。私好みの展覧会をされているので常時チェックしておかないといけませんね。(常設展での特集展示についてはまた別の機会に)

窓の外にもオブジェが。

【拝観】東大寺戒壇院戒壇堂

戒壇堂のパンフレット 広目天様!

【東大寺HP】 

※現在、保存修理・耐震化工事のため拝観停止中(7/1より約3年間)
7/4(土)からは千手堂が代わりに拝観できます。(詳細はHPへ↑)

7/23(木)よりお堂の四天王像は東大寺ミュージアムで展示されています。
【東大寺総合文化センター お知らせ】 

私と東大寺戒壇堂

東大寺には他のお寺よりもとても親近感を覚えています。
それは、学生時代から東大寺のふもとで暮らし、学び、幾度となく訪れたことがあるからだと思います。東大寺の行事とともに季節の移り変わりを知ることが当たり前でした。

お堂それぞれの思い出や印象を持っていますが、戒壇堂は度々訪れたくなるところです。正確にはあの天平の四天王像に会いたくなるのです。こう書くと、アントニオ猪木にビンタされに行くファンの心理に似たものがあると思います。
今回の訪問は「耐震工事前にお堂でみられる四天王像はしばらく見納め」という考えがあったものの、もう一つ「なんだか疲れている自分の背筋をシャンとさせたい」という思いのもと訪問しました。

滑り込み拝観

拝観したのは6月27日。拝観停止は30日。文字通り滑り込みセーフでした。

当日は子供を預け、午後一番で自分の用事を済ませました。東大寺に向かうとギリギリ拝観時間に間に合いました。というのも、コロナウィルスの影響で拝観時間が16時までに短縮されていたのです。電車に乗る段階でヒヤヒヤしていたのですが、腹をくくって、近鉄奈良駅からは走って向かいました。久しぶりの「駅からダッシュ」です。

東大寺戒壇堂に行く最短ルートは?

戒壇堂は東大寺のお堂の中で一番西側(駅側)になります。いろんなルートから入れますが、駅から行くならこのルートが単純明快でいいのでは?というのを提案します。

  1. 近鉄奈良駅出口1または2から東大寺方面に向かうのは同じ。(赤線)
  2. 東へまっすぐ進む。出口1でも2でも、地下道に入ったら東大寺方面北東の地上出口から出る。そうしたら北へ進む。
  3. 次の交差点で右(東)に曲がる。そこを進むと正面に若草山、東大寺大仏殿の鴟尾、依水園の入り口が見えてくる。これは結構良い写真スポットだと私は思っています。(車も通るので気を付けながら)
  4. どん突きを道なりに左(北)へ進む。そのまままっすぐ。
  5. 突き当りに石の階段があります。(下の写真がそうです)そこを登れば戒壇堂があります。
地図 近鉄奈良から東大寺戒壇堂

※青線は「そっち通ると白壁の屋敷の間の小道で雰囲気がいいよ!」というルートです。

東大寺戒壇院戒壇堂
戒壇堂 水門町からの眺め

戒壇堂の魅力

戒壇堂はかつては受戒といって僧になるための厳粛な儀式が行われていた場所です。そのためか、お堂の中は普段は薄暗く、空気が止まっているような、静謐な感じを受けます。それが魅力の一つです。

入るとまず、お堂いっぱいの台座の上に多宝塔がドーンと中央にあります。多宝塔も結構大きいのでビックリします。そして、四天王像が四方を護っています。個人的にはこの四天王像各像を一つずつ眺めるのが、とても心が落ち着きます。残っている彩色も見えたりしますし、思っているよりも近くで見れている感じがします。台座の関係で、踏まれている邪鬼も物理的に近いです。自分の心持によっては、邪鬼に心寄せることもあるかもしれませんね!

今回は駅から走ってきて、到着したころにはゼーゼーハーハー息も荒く、頭から湯気が出ているような状態でした。こうしてお堂をグルグル回るように各像を拝見していくと呼吸も精神も整っていくような気がしました。湯気として出ていたのは、日ごろのウップン、弱ってた部分かもしれません。それを四天王像各位に浄化していただきました。
ありがとうございました!

今度は千手堂へ

戒壇堂が約3年ほど拝観停止になる代わりに西隣の千手堂が特別公開されています。歴史の中で何度も焼失しながら再建されてきました。普段はひっそりとしていて気に留めたことはありませんでした。

今度はこちらにぜひ拝観したいと思います。こちらのお堂には厨子入千手観音像・四天王像・鑑真和上像(いずれも重要文化財)等がいらっしゃるそうです。リンクの方もぜひご覧ください。納められている厨子の復元された扉絵も見事!こちらも見所では?
千手堂の歴史

戒壇堂の四天王像は東大寺ミュージアムでもう会えるようなのでご心配なく。どうやら法華堂の日光・月光菩薩と「天平美仏 夢の競演」らしいです。またこちらも行かなくてはいけませんね。