【旅行】信貴山 朝護孫子寺

信貴山 朝護孫子寺 HP

【宿泊】2020年9月19日・20日 信貴山観光ホテル

奈良県民限定宿泊割引を利用して

シルバーウィーク中は家族で信貴山へ旅行に行きました。
 
少し前に奈良県民限定の宿泊割引キャンペーンが発表され、運よく1人21,000円分の高額なクーポンをとてもお安くゲットできました。日帰りでも行ける信貴山ですが、これまで行ったことがなかったので、泊りでゆっくりすることにしました。

初めての信貴山

信貴山といえば、朝護孫子寺。寅(のモチーフ)がやたらといるお寺です。
その歴史は古く、聖徳太子が物部守屋を倒すときに信貴山に来て毘沙門天を感得し、見事勝利したという謂れがあります。寅がやたらといるのは、毘沙門天が出現したのが「寅の年、寅の日、寅の刻」だったからだそうです。
 
今回、息子は初めての宿泊旅行でした。
親の荷物は本当に少なかったのですが、子どもの荷物はその何倍もありました。何も考えずベビーカーでお寺に行ってしまったのですが、今回は抱っこ紐で行くべきでした。とにかく階段、階段、階段…山だから当たり前ですよね。夫と二人でベビーカー担いでお参りしました。

国の登録有形文化財 開運橋 とバンジージャンプ

開運橋
駐車場に車を留めて信貴山に行くには、開運橋という橋を渡ります。
 
この橋の真ん中ではなんとバンジージャンプをやっていました!
いつ見ても体験している人がいて、見物人もパラパラと。見ているだけで肝が冷えますが、橋の名前にあやかって現状打破したいときはやってみてもいいかもしれません…
 
しかもこの橋は国の登録有形文化財。橋の工法が貴重なものということでした。
それにしてもバンジージャンプ凄い…
開運バンジージャンプ 受付は駐車場で

いざ朝護孫子寺へ

橋を渡って、まずは本堂を目指します。
途中で大きな張子の寅がお出迎えしてくれます。ここは記念写真スポットです!
大寅と本堂

赤門をくぐって左に進むと、かやの木稲荷があります。こちらのかやの木がご神木だそうです。お寺の由来もわかりやすく書かれていました。

榧木の説明
かやの木稲荷

そして大きな聖徳太子の騎馬像があります。北村西望作とのことです。

(このミニチュアが霊宝館にあり、その立て札にそう書いてありました。)

聖徳太子神像
融通殿でまずお参りし、階段を進みます。
 
本堂に上がる階段が一番急で、ベビーカーで行った私たちは、夫が子供を抱っこし、私がベビーカーを担いで登りました。マスクをつけながらなのでなかなか息が切れました。
ただ登りきると、さわやかな風が強く吹いていて、とても気持ちよかったです。天気も良かったので、奈良盆地の景色がきれいに見えました。
 
 
本堂にはご本尊の毘沙門天像が祀られています。
本当のご本尊は秘仏で、祈祷を受けられる方は内陣まで上がってお前立と毘沙門天の眷属である二十八使者像も拝尊できるようです。祈祷中のお坊さんの音声はスピーカーを通して、そのあたりにいる人々は聞くことができます。
本堂から奈良盆地をのぞむ
ムカデは毘沙門天の化身
代わりに「戒壇巡り」は体験しました。
 
他では「胎内めぐり」と呼ばれるものと同じだと思います。地下の真っ暗な回廊を進み、ご本尊の真下に当たるところで一つだけ願い事をするというものです。
 
私一人で中に入りましたが、少し進むだけで周囲から光がなくなり闇の状態に。さすがに方向感覚がなくなってきて、恐怖心も湧いてきました。回廊内に小さな明かりは要所にあり、それを頼りに進むと、干支の守り本尊のお堂、そして宝珠が安置されているというお堂の扉にたどり着きました。その錠前を握りながら一つお願い事をしました。さらに進んで出口付近で光が見えてくると安心できました。
 
不思議なことに真っ暗な所では安全第一で、余計なことを考えている暇がなく「無の時間」だったと思います。気分的にもすっきりしたように感じました。
 
 
 
戒壇巡り
本堂から降りてくるとすぐ霊宝館があります。思っていたより小さな収蔵庫のような建物でした。
 
美術の面でここを語るとしたら「信貴山縁起絵巻」は外せないでしょう。絵巻はレプリカが常時展示されていますが、毎年本物が信貴山で公開されています。残念ながら行ったときは公開されておらず、今年はもう少し先でした。
 
 国宝信貴山縁起絵巻特別公開(飛倉の巻)
  • 日時 10月31日(土)〜11月15日(日) 9時〜16時 
  • 場所 霊宝館 
  • 秘蔵三巻のうちの一巻を公開
  • 特別拝観料 個人400円、団体300円(15名以上)
レプリカでも各絵巻のハイライトを出してくれていますので、知らない方でも充分概要はつかめると思います。私はそれよりも武田信玄の書状や毘沙門天の仏画や仏像が気になりました。楠木正成の兜は重要文化財です。
信貴山も戦国時代には信貴山城があり、大河ドラマ「麒麟がくる」でも再注目の松永久秀の屋敷跡があったところ・・・松永久秀関連のものがあるか期待していましたが、それほどに残ってなかったようです。

小休止 古民家カフェ てぬき庵

そんなこんなでベビーカー連れで行ける範囲は行ったので、近くのカフェで休むことにしました。

古民家カフェ てぬき庵
古民家カフェてぬき庵さんでチーズケーキセット750円をいただきました。
 
このチーズケーキは米粉100%で、普通のケーキより蒸しパンに近いような食感でした。
息子が縦横無尽にずりばいしていっても、店主の方が気遣って下さりとても助かりました。お庭から吹き抜ける風が心地よくて、小休止にぴったりでした。
チーズケーキセット 750円

今日のお宿

今回のお宿は信貴山観光ホテル。
 
和室が2014年にリニューアルされてキレイだということと、宿泊プランがいろいろ選べる、温泉があるということで選びました。お食事も盛りだくさんで大満足。個人的には数年ぶりに温泉に入れたのがとても良かったです。
信貴山観光ホテル 天然温泉があります
信貴山観光ホテルの夕食
ホテルの部屋から開運橋をのぞむ

翌日も朝護孫子寺へ

さて翌日、チェックアウトした後も再び朝護孫子寺へ。
 
まだ回れていないところが結構たくさんあったのです。
その一つ、剣鎧護法堂。「信貴山縁起絵巻」延喜加持の巻の護法童子はここから出現したものです。林の中の小径を進むと小さな祠がありました。病気平癒にご利益があり、先客が熱心にお参りをされていました。
剣鎧護法堂 入口
あとは、塔頭の方もそれぞれ行ってみました。
朝護孫子寺には千手院成福院玉蔵院の3つ塔頭があり、それぞれ宿坊もやっています。子どものお風呂や食事などの関係で今回は見送りましたが、ぜひ宿坊にも止まってみたいですね。特に玉蔵院の日帰り/一泊二日の僧・尼僧体験は興味深かったです。
 
今回は千手院の「護摩の毘沙門さん」、銭亀堂と貧乏神除け神社もお参りしました。貧乏神除け神社は初めて聞いた神社なので?と思っていましたが、蛇型の宇賀弁財天さんだということでした。貧乏神はガマガエルの姿をしているので、それをやっつけるのは蛇だということらしいです。先に貧乏神除け神社に参って厄除けした後、銭亀堂にその名の通り、お金が貯まるようお願いしました。著名人のサインがたくさん飾ってありました。

今回行けなかったところ

あとは他の塔頭をめぐってお堂を軽くお参りして帰路につきました。家族へのお土産はよもぎだんごです。
 
もし子どもがいなかったら、山頂にある空鉢護法堂にも挑戦したかったなあと思いました。この空鉢も「信貴山縁起絵巻」飛倉の巻の鉢が由来となっているようです。そこまで行ければ、信貴山城址、松永久秀屋敷跡も…「麒麟がくる」をやっている今年、ぜひ見たかったです…
 
松永久秀は信長に背き、信長軍の総攻撃を受けながら、この城に50日間籠城し10月10日に落城、久秀も自害するのです。この時の信貴山城の天守は安土城のモデルともいわれています。俗に久秀は茶釜の「平蜘蛛」をかかえて大爆死したというのが伝わっていますが、真相はどうなのでしょうか?
 
まだまだ気になるところがある信貴山ですが、我が家からは日帰りで行ける距離なので、また来ようと思いました。その時は頂上の信貴山城址まで到達したいですね!
ホテルの裏にあった泉源地

【展覧会感想】奈良国立博物館「毘沙門天―北方鎮護のカミ―」展

【美術館HP(展覧会ページ)】 

【会期】2/4(火)~3/22(日) 
※3/15(日)まで休館中。再開時期は未定。

現在休館中です

先日、開催中の「毘沙門天展」に行ってきましたが、現在、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、奈良国立博物館も3/15まで休館することが決定しました。(実質3/16(月)まで?)

国立文化財機構 国立博物館等臨時休館のお知らせ

今後どうなるかは注視しなければいけませんが、また再開したときの参考になれば幸いです。

毘沙門天とは

毘沙門天は、四天王像の北方を護る多聞天が独尊として祀られたものです。

展覧会のページには以下のように説明してあります。

四天王(持国天・増長天・広目天・多聞天)は、須弥山(しゅみせん)世界の四方にいて、仏教世界や仏法を守るカミです。このうち北方を守護する多聞天は、「毘沙門天」の名で単独の像としても造像、信仰され、四天王のなかでも特別の存在でした。

仏教の中にあって「神様」なのが不思議ですね。もとは古代インドの神様だったのが仏教世界に入って現在の姿になっています。○○天とつく神様はそういう出自をもつ存在です。上杉謙信が信仰していた印象が強くて武運長久・勝負ごとに願掛けする神様というイメージが強くありました。もちろんそういう意味を含めたお像もありますが、それよりも福徳をもたらす神様として信仰されていたらしいです。七福神に入っているのはそのためです。

噂で毘沙門天しかいないと聞いていましたが、本当にそうでした。
でも、それぞれ個性的で、おもしろい!知らなかったことがいっぱいで学びの多い内容でした。

驚いたこと

毘沙門天にも種類があること。独尊のお像しか知りませんでしたが、妻・吉祥天と子・善膩師童子(ぜんにしどうじ)との三尊像、双身(そうしん)毘沙門天像、兜跋(とばつ)形毘沙門天像とバラエティ豊かでした。

特に吉祥天・ 善膩師童子との三尊像は微笑ましい感じでした。鞍馬寺の三尊像がチラシ等にも載っていたもので、毘沙門天が額に手をやり遠くを眺めるようなポーズがかっこよかったです。(このポーズは後補らしいです。後補GoodJob!)同じく高知の雪蹊寺の三尊像で湛慶作で、他の像とは一線を画す表現でした。無著・世親像みたいなリアルな表情でした。

次に、双身は二体の毘沙門天像が背中合わせにくっ付いている状態でした。それぞれの口から出た牙がつながっていたのがなんとも滑稽でちょっと笑ってしまいました。これは勝敵(しょうじゃく)の意味で使われた像。調伏の修法の際に拝む像だそうです。

そして、兜跋(とばつ)形は中国、西域での姿を伝えるお像。なので宝冠や鎧などが個性的で、足元は邪鬼ではなく地天女・ 二鬼(尼藍婆ニランバ、毘藍婆ビランバ)が支えています。東寺の像が出展されていましたが、これは唐時代のもの。それが真似されて広がったことや伝播の中で改変されたことがわかりやすかったです。

好きな毘沙門天

今回は気になるお像がいっぱいあったのですが、その中でも好きだったのが岩手県浅井智福愛宕神社の毘沙門天像です。このお像は他のお像とは雰囲気が違っていました。
なぜかというと、全体がなた彫りだったからです。他はすごく細かい鎧の装飾や細工があったりするのに、これだけなたの彫り筋だけが文様となってすごく渋い雰囲気でした。しかも居たはずの尼藍婆、毘藍婆がなくなっていて、大きくてズッシリした体躯の毘沙門天を地天女が一人がんばっていたのがすごく印象的でもありました。東北らしい実直な感じがして、神社に祭られている「神像」として相応しいなと思いました。

もうひとつの主役「邪鬼」

毘沙門天はもれなく邪鬼をふみつけていました。仰向けだったり、うつ伏せだったり、時には結構アクロバティックな格好だったりします。恨めしそうに毘沙門天を仰ぎ見ているのですが、表情もなんだか憎めないですね。今回の展示では、邪鬼にも玉眼を入れているものもあり驚きました。
あと、 兜跋形の地天女(邪鬼ではないですが)、尼藍婆、毘藍婆の三人組は愛らしい!福岡県観世音寺の二鬼は毘沙門天に遠慮して、背後から覗き込んでいるような表現になっていて可愛らしかったです。

1Fのフォトスポット 向かって右が兜跋形毘沙門天です。ちょっと雰囲気違いますよね。

尼藍婆、毘藍婆のDAIGOさんばりのウィッシュポーズ、これはもう「映え」ですね!今回でこんな愛されキャラが発掘されるとは思いませんでした。御礼を言いたいくらいです。奈良博さん、ありがとうございます!

今のところ、展覧会が再開されるか何も発表されていませんが、少しでも開いてくれたらいいなと願いをこめて、ここに記しました。それくらいオススメしたい展覧会でした。

まったりとくつろぐシカ達